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第十回「片子の一生の物語をつくる2」

November 29, 2017

2017年9月3日

協力:女性1名(20代)、男性3名(20代、40~50代)

時間:約2時間

自宅にて。

 

***

 

 

 最初から物語をつくりなおすという性質上、前半のようにテーマへの回答という流れよりも、自由な物語がつくられることがわかった。そこで、集まる人によってどのような差異が生まれるかを見るべく、今回はもう一度同テーマで行った。

 

 まずは前回と同じく、事前に読んでもらった物語を簡単に確認。そして作品のコンセプトや第一部でのワークショップの話と、今回の「ひとつの物語をつくる」という趣旨を説明。

 

 最初は毎回おなじだが、どのようにつくってゆけばよいかわからず、困惑からスタート。物語について話し合っているうちに、前回とほぼ同じかたちでロールプレイで、いちから映画的にシーンをつないで物語をつくってゆく、という流れになる。基本的に私が明確に指示を出して流れをコントロールしたりはしないのだけれど、テーマにこたえようとするとこのような方法になるのかもしれないと興味深く思う。

 

 まずは夫婦の馴れ初めの物語から作ってゆくことに。「ぼくは片子。これは、ぼくが生まれる前の物語」というナレーションからスタート。男は最初、木こりとして村のはずれの山の中で猿と暮らしている。猿は「バブルス」と名付けられた。女は村で母親と暮らしているという設定に。

 

 ある日女の母親が腹痛で倒れてしまう。そこで女は山へ薬草をとりにゆくのだが、道に迷ってしまった。そうこうしているうちに転んで気絶してしまうのだが、猿と男によって見つけられ、介抱される。これがきっかけとなり、ふたりは夫婦となった。これが馴れ初めの物語である。

 

 前回までの相違点として、夫婦のあり方として「夫は木こり、女房は洗濯などの家事」という役割分担が当然のものとして描かれた。ところでさらりと書いたが、これだけでちょっとした長さになった。あまりに細かいエピソードが挿入されるので、もう少しざっくり作ろうと提案する。

 

 そして物語づくりを継続。ある日、山で猿(バブルス)が殺されているのを女房が発見する。村に人間をさらいにきた鬼の仕業であった。そこへ夫がやってくる。ここで、川を挟んで鬼と対峙する夫という少年漫画的な構図がつくられた。この後の展開についていろいろと話し合われた結果、鬼が「女房をよこすか、村を全滅させるかどちらかを選べ」という選択を迫ってきたということに。夫は拒むも、女房は村を守るために鬼のところへゆくという。夫はなおも抵抗するも返り討ちにあい、涙を流しながらふたりを見送った。

 

 その後、女房の鬼ヶ島での暮らしの物語づくりへ。ここでも物語の展開について色々と話し合われた結果、「鬼と村との間の契約」という物語がつくられる。鬼ヶ島は少子化で、のこる鬼はかしらである鬼と、子分が数人。そこで、鬼は鬼の血を絶やさないために人間の村へと契約をもちかけたのだ。それは村に手を出さない代わりに、女を1人よこせというもの。そうして村から差し出されたのが、女房だったのだ。

 焚き火を囲んで話す鬼。鬼ヶ島を守るための行為であることや、鬼の誠実な対応などに触れ、しだいに女房は鬼にたいして心を打ち解けてゆく。そうしていつしか二人は愛し合い、片子が産まれるのだった。

 

 男性陣の勢いがよく、夫を中心に物語がつくられてゆく。図らずも、女房が中心となって前回と好対照をなす展開になってきた。物語づくりはなかなか白熱してきて、どんどんと色々な設定などがうまれてゆく。

 

 そうして、10年間の話題に。今までは「鬼ヶ島を探すのに10年もかかるなんて、夫はまぬけ」程度にしか描かれなかった10年間だが、今回は具体的な内容がつくられた。それは、10年の間に夫は修行の旅に出るというものだった(師匠は桃太郎、といった設定もつくられた)。

 

 そして物語は夫が鬼ヶ島へとやってくるシーンへ。力をつけてやってきた夫と鬼の対峙。そして愛する二人が戦おうとしているのを見つめる女房。母親の夫の登場に混乱する片子。鬼の頭が一騎打ちをするのを見守る鬼の子分たち。という場面がつくられる。

 結果、夫は鬼を打ちたおし、女房と片子をつれて村へ。鬼の子分たちは鬼族の再興を誓いつつどこかへ去ってゆく。片子は実の父親を殺した夫を憎むも、母親についてゆくことに。

 

 そして村に帰ってきてからの物語をつくる。ここまで快調だった物語づくりだが、ここで勢いがとまってしまう。このままでは、片子は幸せにならず、村に居場所がない。原作とたいして変わらないような展開になってしまうのではないか?という話などをする。片子について話あうなかで新たな要素として、死んだはずの鬼の亡霊が登場し、鬼の力が目覚めそうになる片子に「人間との約束を守れ。殺すな」とささやく、という物語がつくられるも、片子が不幸になる結末は変わらなそうである。

 

 ここで一度、結末がつくられる。どこからともなく「女の子の片子」がやってきて、家族として一緒に村のはずれで暮らすというもの。片子たちは夫婦となり、鬼の子と人の子を産む。それを見とどけた鬼は成仏し、村のはずれで調和のとれた家族がつくられたとさ。

 

 しかし納得がいった感じがないので、物語づくりを続行する。原作との対比から、何が変更されたかなどを確認しあう。村に帰ってきてからの展開で何が違うかと問うなかで、夫が10年で修業し、鬼を滅ぼすほどの力を得ているのだから、村の中で新たな脅威として村人に恐れられているのでは?という視点が提示される。そこから、「村人と鬼との契約」といった設定などを思い出しつつ、物語をつくりなおしてゆく。

 

 物語を動かすためには、片子の暴走をおさえつけている母親が死ななくてはならないのではないか?といった話をする。そこでさきほどの設定が活かされ、「村の安全のために女房を鬼に売ったという事実を知っているのは、この村では女房のみ。鬼並みの脅威である夫にこのことが知られることを村人はおそれている」という話がつくられ、これを理由に村人による女房殺害という展開へ。

 

 そしてある日、女房が毒殺されてしまう。これによって片子はタガがはずれ、鬼の血が目覚め、父親を殺された恨みが爆発する。片子は人間に復習すべく、村人をレイプし打ち殺し、鬼ヶ島へとさらっていってしまう。そこで鬼の子分たちと合流し、鬼軍団を形成する。「デビルマン」について触れつつ、物語がつくられてゆく。

 

 こうして鬼軍と人間軍のあいだで戦争が起こる。最終的に両者は滅ぼしあい、夫一人だけが生き残るという物語となった。

 

 この物語について話しあうなかで、これのアフターストーリーがつくられた。ひとり生き残った夫は村を再興するのだが、そこで語られた物語がこの「片子」であるという話だ。血塗られた自らの歴史を美談として語るために、自己犠牲という尊い物語へと改変して後世に伝えた、という話がつくらた。

 

 ここで、「敵をうち滅ぼしたという歴史のほうが、一般的に正史として語られるものではないか?なぜ、あえて自己犠牲という物語にして語りなおす必要がある?」と問う。夫は義理の子どもを殺したことや、村人を全滅させてしまったことなどへの罪悪感があり、それを払拭するための美談だった。などということが話し合われた。

 

 

 

 ここで物語づくりは終わり。感想など話し合うなかで、唯一の女性から「やりづらかった。男の世界にきちゃったって感じ」などという言葉が。

 女房が積極的に行動することで、多様な結末になった前回。そして夫が積極的に行動することで、鬼も片子も殺してしまうという結果になった今回。最初の1、2回もそうだったが、同じテーマで2度やった結果、男性的な展開と女性的な展開がうまれたということが興味深い。

 

 ここで個人的に非常に興味深く思ったのは、「美談として語りつぐ夫」というモチーフだった。このワークショップでもほとんど語られないばかりか、日本昔話の中でもあまり積極的な行動を起こさない「夫」というキャラクターが、はじめて具体的な役割を担ったこと。そしてそれが「美談を語りつぐ」という役割であったこと。これらが非常に気にかかる。

 

 日本の昔話は、西洋の昔話のようにわかりやすい起承転結があるものよりはむしろ、「もののあはれ」的な、ふわっと感傷的に終わる物語も多い。これが何を意味するのかよくわからなかったのだが、このモチーフを当てはめると腑に落ちるものがある気がした。

 つまり、こうした昔話を語る主体が、「美談として語りつぐ夫」なのではないだろうか?物語にかけられたオブラートを剥いでゆくとあらわれてくる、実際にあったかもしれない出来事。これをどう捉えるかというときに、自分の内面だけの出来事として合理化がなされたり、あるいは他者に気をつかったりすることによって創作された物語なのではないだろうか。それはある種の私小説的な意識と呼んでもよいのかもしれない。

 また、単純に「起きた出来事」を語る際に、過失や恥をベールに覆い隠す語りでもあるのかもしれない。なんとなく重要なモチーフに思われて、思いがけず非常に興味深い回となった。

 

 

 

 

 

 

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