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第五回「村人の物語をつくる」

November 18, 2017

5月3日

参加者:女性3名(20代、40~50代、50代)、男性1名(40~50代)、私の計5名。

時間:約1時間

今回も展覧会会場にて開催。前回は立った状態でのワークショップだったが、今回は砂箱を囲むかたちに箱椅子を配置して、ラウンジのようなかたちにする。今回は初となる親子(父、母、娘)での参加があった。

***

 まずはワークショップの概要と片子の物語を説明。前回までの流れを簡単に説明し、今回は「村人の物語」でどうか、と提案する。

 さっそく「片子ちゃんはどんな子なの?」という質問がでる。物語のエピソードを紹介しながら、「おそらく9歳ぐらいの男の子で、優しい子」ではないか、と話す。その性格をふまえるなら、この子を村全体で育ててはいかがか、という提案が出る。親たちの会議によって、いじめられたりしないようにある程度距離をもった環境で共同で育てるというもの。

 それに対して、地域性があるのでは?という意見が。過疎の村なら子どもを受け入れようとするだろうが、都市なら無理では?と。私が「(ひらかれている)都市のほうが無理なんでしょうか?」と問うと、「核家族化しており、他の家庭の問題を持ち込まないでほしい、となる」という意見が。そして村で育てることの利点として、鬼ヶ島で育てる場合は鬼としか接しないので鬼的なものを吸収してしまうけれど、村にいれば村のルールを人から学び、普通の子どもになる、という話になる。

 ここで私から、「原作ではこの村は受け入れてくれない村だった。もしも全体の総意としては受け入れられなかった時に、他に何かできることはあるだろうか?否定的な空気が生まれてしまった時に、何かできることはあるだろうか?」問いかけてみる。

  • 孤児院に入れる(大人は親との関係を含めて村八分にしているのだから、子ども同士の関係であれば、片子が良い子なら打ち解けていけるのではないか)。

  • アメリカに行く(色々な人がいるから受け入れられやすい)。

  • 研究者、学者のような人の家にやる。

  • 人付き合いできないのならば、人の目につかない仕事をやる。牛追い、牧場、見世物小屋など(ヘレン・ケラーのエピソードが話される)。

 といった案が提出される。

 村が積極的に受け入れてくれない場合は、どうにか自分で生きていく道を見つけなければならないが、それにしても最低限どこかに居場所や受け入れ先がなくてはならない、ということを確認する。そこで、「受け入れられない理由」について話し合う。

 1つは鬼が追いかけてくるという現実的な脅威。その他の可能性として、鬼が過去に村人を殺害した可能性があるといったものや、得体が知れず、いつ鬼に豹変するかわからない。その不信感がある。といった可能性について話す。

 その昔、統合失調症などといった概念がなかったころは、精神病の人は座敷牢に幽閉されていた、という話などする。ここで、現在はそういうことがなくなってきたが、それはなぜだろうか?と問いかける。移民の話などがでる。顔も色も違うが、情報が入り、理解が深まることで受け入れられるようになってきたのでは、という話などをする。

 これを村の話に置き換えて話す。彼のことを知ればいい。例えば危害を加えない優しい少年であることや、仮に鬼への豹変といったことが起こるのであれば、それへの対処法などを共有すること。ここで、この問題については解決されたこととする。

 そして、「鬼が追いかけてきた際に、何があれば村人は彼を守るのか?その動機とは何だろうか?」と問いかけてみる。

 鬼が父親として我が子(片子)が可愛いのであれば、村人が彼を育てるかわりに、村に危害を加えるな、という契約をする。という案が出る。しかしそれでは人質ではないか?といった意見がでる。

 ここで参加者の女性から、参加者の男性(父)に「お父さん、どうですか。父親として、実の子がさらわれた時に?」という発言が出て、男性に注目が集まるといった場面があり、興味深く動向をながめる。

 少し考えているふうであったので、話を進める。「例えば鬼は、村人が寝ている時間に全員を殺してしまうことだってできるかもしれない」など。すると、「ある時間に会えるようにする。一ヶ月に一回とか二回とか、この日に2時間とか」といった提案が出る。書面を交わして契約をする。など。まるで離婚の話のようだ、と話し合う。

 ここで北朝鮮のミサイルや移民の話などが出る。自分の利益を追い求うなかで、それらを調停するのは何か、といった話など。ここで村に話をもどし、もう一度「村人には片子を受け入れないという選択肢もあるが、それでも村全体で受け入れようとする動機は何か?」と問いかけてみる。

 単純に、それは道徳心ではないか、などと話す。犬だってかわいそうと思い殺さない、など。

 ここで先ほど提案された人質のような作戦では、片子本人に自分が人質扱いされているという情報が伝わってしまい、苦しむだろうから、他の作戦はないか?と問いかけてみる。

 「祭りに誘う。鬼も孤独なのかもしれないから」といったアイデアや、「鬼との交流をもつ」といったアイデアが出る。ここで鬼がなぜ襲ってくるのかという理由や、村人が受け入れない理由などについて、移民の話題や鬼=白人だったという説、トランスジェンダーの話題などと、村での話を行ったり来たりしながら話し合う。面倒ごとを引き受けたくないといった理由が主に話し合われる。

 ここで、例えば鬼との交渉役の村人が鬼に危害を加えられてしまったらどうなるだろう?と問いかけてみる。

 片子を受け入れる側の村人代表だった彼が殺されることで、受け入れようと言った人たちの立場も潰れる。交渉役の村人にも親がいて、その恨みは片子に向く、といった話などをする。

 ここで、「(交渉役の村人が殺されても)それでも彼を受け入れ続けようというという展開はあり得るだろうか?それがあるとすれば、どういう理由だろうか」と問いかけてみる。

 仲介する人がいないと無理。という話や、交渉役の村人の両親が言えばなんとかなるかもしれない、という話が出る。ここで、少し沈黙気味であった参加者(父)からぽつりと「まず、片子を逃がすのが先だな。理解してもらうために、地道に説得するという道しかなくなる。片子を逃がさない限りは、直接片子に恨みがゆく」という話が出たのが印象的であった。片子を逃がすことで、交渉することができる状況が生まれるという話をする。

 自分の子どもが被害者と加害者になってしまったら親はどんな気持ちだろう?といった話などがなされる。片子が20歳ぐらいになると、片子が完全に人間の側について、鬼を退治しにいくという話がつくられる。そうなると他の鬼も人間の村を攻めるのでは?全面戦争になってしまう。世界情勢の話みたいね、という話をして、ここでワークショップを終わりにした。

 最後に少しまとめをする。本来、自殺してしまう片子を、生かして受け入れることによって、何か問題が起きてしまう。これはやはり集団にとってある種の負担なのだろう、という確認などをする。前回までのワークショップとの比較で、世代の差による実感のこもった言葉がきけてよかった、などと感想を話したりして、終了。物語を作る際に、人形をつかった色々なシーンがすぐに作られるというパフォーマンスの面が面白かったと評判であった。

 以下、作られた物語のアイデアまとめ。

 

  • 村全体で育てる。(親たちのネットワークの中で)

  • それができない場合は、孤児院に入れる。アメリカに行く。学者の下にやる。ひと目につかない仕事をやる。など。

  • 様子を見るしかない。ちっちゃいうちは村で隠して育てて、15歳とか自分で判断できる年齢になったら、自分で生き方を選ばせる。

  • 村人が交渉役に立って、村で片子を育てるかわりに、鬼は危害を加えない、といった契約を結ぶ。(月に何度か会う、などの契約も)

  • 鬼を祭りに誘い、平和的な関係を結ぶ。

  • 交渉役が鬼に殺された場合は、直接恨みの矛先となる片子を逃がす。そのことによって交渉のできる状況が生まれ、地道な対話を続けてゆく。

 

*** 

 

 そもそもが片子に対して受容的な雰囲気で進んだ感じがあった。子育て経験者が3人おり、親としての視点で物語がつくられたのが非常に興味深かった。もし実際に片子のような少年がここにいたなら、おそらく受け入れられただろうという雰囲気を感じた。しかし、親としての受容的な態度と、片子的な自殺という主題の結びつきに関しては難しいところと思う。この点に関しては次回以降で考えてゆければと思う。

 村人を主題においた物語作りを行ったが、片子があらわれることで、村が半分にわかれ、そこから議論や対話が生まれ、言葉が生まれるという状況が興味深かった。社会の中の異物とはそういう役割をもち、それを自殺に追いやるということは集団の中の言葉を消失させることになるのではないか、などと思った。

 片子を主題にしたテーマでは、片子の「自己犠牲」に注目が集まったが、村人を主体とした今回のテーマでは、片子は「鬼を引き連れてくる厄災」という面が強調されたように思う。それにも関わらず、半分は人間であること。ここに片子を受け入れる理由と、受け入れない理由があるのかもしれない。

 参加者の1人は個人的な経験と重ね合わせていた様子で、ワークショップ終了後には片子の物語の原文や、関連する情報について詳しく尋ねられた。

 ワークショップ自体は終始和やかに進み、現実的な話題への結びつきと、それを村での物語に置き換えてゆくという往来がスムーズに行われ、バランスのよい回になったと感じた。

 

 

 

 

 

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